Words
■胸が騒ぐ
しわだらけのシャツにアイロンをあててみた
とっておきの一張羅ってわけじゃないけれど
なんだか特別な気分
ショーウインドウが二人の姿を映し出した
BGMのブルース 調子外れだけれど
やっぱり特別な気分
そして隣で君が笑うただそれだけで
僕の世界はスピードあげて回り続けてゆく
ねえ月並みの話をしよう
甘くないミルクティーに
いくつも角砂糖を放り込んで
あぁこの街に紛れ込んだ血生臭い狼は
金色の満月に目が眩んで胸が騒ぐ
観覧車よりもジェットコースターに乗って
映画館では激しいアクションに声をあげて
なんだか特別な気分
そして隣で君が目薬差して瞬きして
夜空を見上げた 大都会の賑わう空
ほら突き出した東京タワー
今は一番ではないけれど
いくつも輝きを放っている
あぁ吐き出した白い吐息
溜め息に変わる前に
銀色の星たちを見つけ出して胸が騒ぐ
帰り道の駅へ向かう…
その途中のあの角のガラス張りの喫茶店で
■水の中
僕は小さな赤い魚だ
大きな川を流れに逆らって泳ぐさ
今日は日差しがやけに強くて
それを避けるようにさらに深い場所へ潜った
聴こえない 笑い声
誰もいなくても ずっと進んでゆく
乾いている体に 透き通った水がほしい
いつかの夜もいつもの朝も
たまに流されて辿り着いた日々が答えだ
今日は日差しが何故か弱くて
見上げた空は今にも泣き出しそうな色
届かない 叫び声
君がいないなら すぐに探しにゆく
歪んでいる世界が 太陽と月を飲み込んで
吐き出して その繰り返しの中
僕は小さな赤い魚だ
いずれ草原を歩く そんな日を夢見て
今日も泳ぐさ
■monochrome
静かな夜 眠れないまま
夢の続き 半分でいいから
昨日の映画とよく似た物語描けば
乾いた君の声
見慣れた街の片隅
裸足で駆け抜けた
風は吹かない
黙り込んで 愛を語る
足りないのは言葉だけなのに
昨日の映画の続きを僕はまだ知らない
冷たい雨の中
君は傘も差さずに
一人で待っていた
朝がまだ遠い
■キミトボクトオレンジト
気が遠くなるような回り道を続ける
僕は霧の中 君を見失う
柔らかなアスファルト
いくつもの足跡が行き交う
しばらくめまいを感じながら街を彷徨う
夏のにおい 蜃気楼と
時計仕掛けの 明日を探す
魔法が解けた朝も夢見心地の午後も
甘い言葉の夜を思い出して恋は儚い
空は白く 風は熱く
雨に唄えば 君を想う
気が遠くなるような回り道を続ける
乾いた砂の上 いくつもの笑い声
蝶が七色の羽根を広げて遠く消えてゆく
■ひとりで
透き通った水の中
名前のない魚たち 躍れば
いつかの空 消えた花火
いつからかセミの声
ああ、聞こえない
風が吹いたら会いたくなるよ
瞬きひとつ 気づけば
近づく影 君はひとりで
波打ち際 裸足で歩く 俯いたまま
カモメの群れ 今日は黙って
大空をあてもなく彷徨う
船に乗る人々はこの海の向こう側
ああ、遠くなる
風が吹いたら会いたくなるよ
通りをひとつ 越えれば
賑わう夜 僕はひとりで
街の声に 耳を塞げば
記憶の中 君が隣で
歌ったあの旋律はもう思い出せない
風が吹いたら会いたくなるよ
瞬きひとつ 気づけば
近づく影 君はひとりで
波打ち際 裸足で歩く
俯きながら 僕はひとりで
街の声に 耳を塞げば
記憶の中 君が隣で
歌ったあの旋律はもう思い出せない
■君はアンドロイド
ハイウェイ音速で駆け抜ける
目的地へその道のりを示す、完璧に
君はアンドロイド 楽しい話をしようよ
新世界の幕開け 何にも怖くはないさ
僕はただロボットのように笑う
真昼と真夜中が混ざり合う
煌く街を彷徨う足元 影はない
君はアンドロイド 優しい歌を聴かせてよ
新世界の幕開け 何でも出来る気がして
何気ないフリしながら
あの子に電話かけたけれど
雨の朝も 風の午後も
ひとりぼっちの明日も
君はアンドロイド 悲しい夜も傍にいてよ
新世界の幕開け 何にも怖くはないさ
新世界を生き抜く その術を教えてよ
僕はただロボットのように笑う